ブックタイトル月刊 マテリアルフロー 2013年2月号 No.635_立ち読み

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概要

月刊 マテリアルフロー 2013年2月号 No.635_立ち読み

当初は国分の全取引事業者まで拡大することを考えていたが,ここで方針を転換。「取引先のレベルに合わせた」システムを開発することにし,同社はマスターを整備。改正省エネ法の最低限項目である日報提出にはデータを簡便にエントリー可能としたほか,デジタコ連携可能な事業者には管理システムよりCSVデータを抽出可能するなど,棲み分けを行った。これにより運送事業者の管理費削減を支援し,全事業者の報告書提出が可能となった。以上のモデル事業が今回の物流環境啓蒙賞の先駆けとなったのである。グリーン経営認証を目的にした啓蒙活動だが法改正後,数年の経過を経て「システムが陳腐化してきた」と山田氏は新たな取り組みの背景を説明する。そしてここでも,中小事業者まで全てをどう巻き込むかが課題になる。当然ながら物流事業者はモノを運ぶのが最重要な職務で,その次に重要視されるのは経理関連業務。環境系のPDCAサイクルのための情報提供の重要度は低い。環境対策に力を入れる大手事業者以外,環境担当者は他業務兼務か数名しかいない事業者が大半を占めている。特定荷主870社に対し,物流は元請けだけではなく孫請け,ひ孫請け全てに対応させるのが困難ということだ。そこで国分の考えたのが「グリーン経営認証」による機能を追加し,この枠組みを活用して教育や視察などで牽制していく方法だ。まず国分本体と国分ロジスティクス㈱が同認証を取得,その専用マニュアルを国分用にわかりやすく作り換え,エコモ財団とともに全国の取引運送事業者を集めて啓蒙活動を行い,認証取得を促していった。「我々のデータ精度を上げるためには,取引先の教育が必要です。そこに外部認証の力を借りて不足部分を補い,現在は77社までの規模となりました」(同)。この取組みが今回,物流環境啓蒙賞として高く評価されたのだ。環境省に談判,森林クレジットと連携国分の狙い通りにグリーン経営認証は取引先でも拡大の一途を辿り,省エネ法の報告は可能となったが,次に山田氏が求めたのはさらに詳細なデータだった。ルート,混載など,これまで以上に細かいデータをサマリーして分析しないと真の物流情報が可視化できないと考えたのだ。図表-1長崎国分による物流クレジットASPCO2一方,国分では国分勘兵衛会長の所有する山林約200ヘクタールを活用した森林クレジットを5年ほど前より実施し,CO2削減量の算出により1,000tのクレジットを保有していた。そこでこれを物流の取り組みに連動させ活用できないかと環境省に談判し,その方法論を策定。国分と直に取引を行う長崎国分による物流分野のCO2削減プロジェクトを開始することにした。トラックにデジタコを装着し,データ化してエコドライブを推奨する取り組みだ(写真①・②,図表-1)。長崎国分は13台のトラックを保有し,CO2削減量は2011年度で12tだった。使用燃料削減への貢献も大きく,燃費削減率は10%超でトラック1台分の燃料削減額,保険料削減額,メンテナンス費用削減額は月に3万円近くになるというから驚く。国が審査し,第3者の審査機関が担保して認められる物流クレジットは,荷主に対する報告書の精度を向CO2CO22013・2 29