ブックタイトル月刊 マテリアルフロー 2013年2月号 No.635_立ち読み
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月刊 マテリアルフロー 2013年2月号 No.635_立ち読み
図表-7倒産に至った経験1.伸び切った翼3分の1が不採算路線2.高コスト体質●巨大で燃費の悪い機体●高い人件費……パイロットの平均年収1,800万円など(スカイマークのような格安航空会社の2倍以上の人件費)3.親方日の丸●乗せてやる⇒サービスの低下●政府依存,組織としての深い病出所:「カンブリア宮殿」,2012年6月放映,テレビ東京理解できました。ところで日本航空はどうして倒産に至ったのでしょうか。2倒産の原因◆不採算路線先輩倒産の原因にはいくつかの理由が存在している(図表-7)。まず日ていますが,今回の日本航空の再建を引き受けるに際して,迷いはなかったのでしょうか。先輩稲森氏は高齢のこともあり,日本航空の再建依頼を再三断った。しかし,このままJALが2次破綻して本当に消えてしまっては,日本経済が低迷している中で非常に悪い影響を与えるのではないかと思ったらしい。残った社員の雇用を守ってあげることが,社会的にも非常に大事なことだと思い,「それだけおっしゃるなら私の任ではないが,必死でやってみましょうと」と引き受けたと語っている。晩節を汚す懸念があったことで,稲森氏の友人,知人のすべてが反対した。後輩官僚的な役員・従業員を引っ張って,倒産からわずか2年8か月後の2012年9月に再上場したのは立派ですね。◆面従腹背先輩再建にあたっては大変苦労したらしい。「役員や従業員は面従腹背で,腹の底では『町工場のおっさん』に何ができる,というような気持ちを多分にもっていたらしい」,と稲森氏は語っている。中には倒産した意識が希薄な人がいたので厳しく叱った。また「今の状態はいけない」と話しても時に合わない発言する人がいたので,濡れたおしぼりを顔にぶつけて「バカかお前は!」と言ったこともあったそうだ。後輩再建にあたっては,どのように行うかにに先立って,日本航空の人達の「ものの見方・考え方」を変える必要があったということですね。先輩従業員の「ものの見方・考え方」は極めて大切だ。ダメな企業の従業員の「ものの見方・考え方」は,顧客主義ではなく上司の顔色を伺うなど保身的で後ろ向きだ。まずこれを変えないと企業は再生できない。逆に優れた企業の従業員の「ものの見方・考え方」は前向きだ。これが良い方に回転すると新たに企業に就職した新入社員も,前向きな「ものの見方・考え方」が自然と育まれてくる。リーマン・ショック以前にはトヨタ生産方式が多くの企業から持てはやされ,ブームを巻き起こした感がある。トヨタ生産方式はJITと自働化という二本の柱からなるが,その本質は「ものの見方・考え方」だ。トヨタに入社した人が極めて優秀だと言うことよりも,トヨタの組織文化に由来する「ものの見方・考え方」に触れて,トヨタに入社した従業員が優秀になっていくというのが,正しい理解だろう。後輩「ものの見方・考え方」が企業にとって極めて重要であることが本航空は半官半民でスタートしたために,政治家がかつての国鉄と同じように,経済的な合理性よりも政治的理由,すなわち選挙での得票のために不採算路線を作っていった。また日本航空も大きな抵抗もせずに政治家の要求に従っていった。後輩しかし公共交通は公共性を求められるので,単に経済性だけで路線の是非を議論しても良いのでしょうか。先輩なかなか鋭い質問だね。国や地方公共団体が行う場合と,民間企業とでは若干,視点が異なる。民間企業の場合には,従業員の雇用を守り,税金を払い,商品・サービスで社会に貢献するためには,企業の永続性を確保する必要がある。そのためには利益を上げることが必要だが,公共性を強調し過ぎると赤字となり,企業は倒産する。民間企業は公共性を考慮し,一部の路線は赤字であっても許されるが,全体として赤字は許されないのだ。後輩確かにそうです。私が利用しているJR東日本の路線は赤字ですが,JR東日本全体では黒字なので廃線されないのですね。先輩その通りだ。国や地方公共団体は利益を上げなくても倒産することはない。ドラッカーが述べているように,国や地方公共団体の組織の一義的な目的は,効率を上げて国民から感謝されることではなく,自分2013・2 59